カーランド的“D仕様ハチロク”プロジェクト

File.02  本格的作業に突入!
ベース車両がフレームのみの状態になったところで、前田氏、三木氏に御来店いただくことになりました。
今回のベース車両の状態を三木氏に見ていただくのはこの日が初めてだったので、2台のボディー状態とフレームを確認し、三木氏の愛車から移植できるパーツなどをチェックしながら、三者(前田氏・三木氏・得知)で「“D仕様”プロジェクト会議」が始まりました。
ここから三者の熱い談話が始まり、どんどんハイテンションへ・・・目の前には最高のフレーム!そして三木氏のハチロクへの熱い想いも伝わり、 「やはり、三木さんにはいいハチロクに乗っていただきたい!」という思いが高まり、得知のテンションはうなぎのぼりになっていったのですが、ここカーランドには煽る人はいても止める人がいないのです・・・。

このフレームを見てください!エンジンルームが、いかにきれいな状態かがおわかりいただけるでしょうか?特に目立った錆や腐りもなく、寸法・歪み等を測定しても基準値どおりの“いいフレーム”なのです。
分解する前からある程度わかっていたのですが、改めてこのベース車両の良さを感じました。やはりフレームの状態が良いとテンションが上がり、“やる気が”湧いてきます。フレームの状態が悪ければ、まずフレームの修正・スポットの打ち直し・エンジンルームやフロアの修理・・・と、作業は山のようになるのですが、このベース車両はその辺りがばっちりOK!なので、フレームでの作業工程が少なくなり、コスト面でも抑えられるということになります。

作業工程としては、まずきれいに洗浄したフレームに下処理をして、フロア(下廻り)からエンジンルームにかけて塗装し、次に室内側の塗装にはいります。白/黒ツートンに仕上げるため、今回はエンジンルーム・室内とも白に塗装します。
@ すべてのパーツ類を取り外したエンジンルーム。ここから作業が始まる。
A まずはエンジンルームと室内の塗装から始める。 B エンジンルーム。きれいに仕上げてあると雰囲気がかなり違う。
C 内装を付けてしまえば見えなくなるが、もちろん丁寧に仕上げる D 白く塗りあがったエンジンルームと室内。何度見ても気持ちいい。
E 白く塗りあがった後部座席とトランク廻り F もちろん室内前廻りもきれいに仕上げる。

テンションロッド、テンションブラケット、ロアアーム、ナックルアーム、スタビライザー、エンジンメンバー、コントロールアーム、ラテラルロッド・・・などの足廻りの主要部品はまだメーカーで生産されており、新品を手に入れることができるのですが、今回は(前田氏により)TRD強化ゴムブッシュに交換されていることもあって、少しでもコスト面を抑えるためにもすべてのものを再使用していきます。

作業としては、まずサンドブラスターをかけて錆などを完全に取り除いて塗装していきます。気の遠くなるような手間のかかる作業なのですが、やはりきれいに仕上げて“喜んでいただきたい”という想いがあるからこそ、時間をかけていけるのです。
次に、パーツ類の準備ができたところで、きれいに塗装したエンジンメンバー、アーム類、ホーシング類を次々と組み上げていきます。この時に、各部取り付けのボルト&ナットはすべて新品を使用しています。ボルト&ナット類のほとんどは再使用できるのですが、すべて新品にします。もちろん見栄えの問題もあるのですが、せっかくきれいにレストアしたボディに錆たボルト類を取り付けると、その部分からまた錆が広がり、レストアをした意味が無くなってしまう・・・ということになってしまうので新品を使用します。

※「新品のボルト&ナット類を使う」ということは言葉では簡単なのですが、これが結構大変なのです。
  この細かなボルト一本の品番を調べ注文に至るまでに1日かかることも・・・

G サンドブラスターで各パーツの錆・塗装を丁寧に落とす。 H サンドブラスターで処理されたアーム類。ここから塗装をする。
I 塗装が終わり組み付けを待つパーツと新品のボルト類。 J きれいに仕上げたアーム類を新品のボルトで組み付けていく。
K ホーシングももちろんピカピカだ。 L 下廻りもきれいに塗装済。各パーツも取付けられ新車以上に!

レストア作業にあたって、すべて新品部品を使用すれば手間もかからず、時間的にも早く、そしてきれいに仕上がることは間違いありません。でも、びっくりするような部品代の請求が来ることも間違いないのです。一言で“コストを抑える”と言っても、レストアをする場合にはどこを抑えるかの判断と、押さえた部分には十分な時間をかけて丁寧に仕上げることが重要なポイントになってきます。

レストア作業は、いつも完成へ向けて黙々と地味な作業が続きます。また、見えない部分へのこだわりがオーナーに伝わるのか?・・・など、完成までの日々は神経もぴりぴりした状態が続きます。でも、完成時にオーナーに喜んでいただけた瞬間、すべての苦労も吹っ飛び、最高の達成感と喜びを感じるのです。今回も同様に、三木氏に喜んでいただけることを願いながら、地味な作業をコツコツと続けていきます。

 


File.02では、いよいよ本格的作業に取り掛かって下準備も出来上がってきました。車体だけではなく、内装も含めての完成状態へはまだまだ遠い道のりです・・・引き続きレポートしていきますので、次回をお楽しみに!

 

※D仕様ハチロクについて多数のお問い合わせ誠にありがとうございます。中でも、レストアのお見積もりを多数いただくのですが、今回の様な仕様等のお見積もりは、ベース車両のボディやフレーム等の状態で大きく変わってきます。まずはベース車両をお見せいただかないとお見積もりを出すことができないことをご理解ください。

 

※現在発売中の「辰巳出版 『レビン&トレノマガジン Vol.16』」にも詳しく掲載されています。

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